2024春、KバレエTOKYOが7年ぶりに「ジゼル」を上演
バレエ好きの南帆です。
Kバレエ2024初の全幕公演はなんと、古典中の
古典、”ジゼル” です。
ここのところ、Kバレエは新作やコンテ作品の
上演が続き、古典バレエをあまり上演していま
せんでしたが、古参のバレエファンとしては、
待ってました~~~! という感じですね。
ジゼルは白鳥の湖やくるみ割り人形よりさらに
前の時代からあった作品です。
全幕バレエとしてストーリーがあります。
あらすじや、キャスト、見どころをご紹介します。
ジゼルのあらすじは簡単?シンプルだけど深いお話
登場人物
ジゼル
アルブレヒト
ヒラリオン
バチルド
ベルタ
ミルタ
二幕から登場。結婚前に亡くなった娘たちの霊
(ウィリー)の女王。
ウィリ―
あらすじ
一幕 農村のジゼルの家の前
時は中世のドイツのある農村。アルブレヒトが
現れる。この村のジゼルという少女と恋人同士
だが、実は彼は貴族で身分を隠し、ロイスと
名乗っている。
今日はぶどうの収穫祭。村娘たちが収穫へ出かけ
ると村の青年ヒラリオンが現れる。ジゼルに
思いを寄せる彼はベルタからも信頼されている
が、ジゼルはアルブレヒトに夢中で見向きもし
ない。
ジゼルとアルブレヒトが楽しい時を過ごして
いると、ヒラリオンが二人の仲を裂こうとする
が、二人の強い思いに引き下がるしかなかった。
収穫を終えた村人たちが帰ってきてジゼルを
収穫祭の女王に選び、皆で踊りを踊る。
そこへジゼルの母、ベルタが心臓の悪いジゼルを
心配して踊りをやめるようにたしなめる。
この村には恐ろしい伝説が語り継がれているのだ。
それは。。。
これ、テストに出ます。
しまうよ。
”ウィリ”とは結婚前に不幸にして亡くなってしま
った少女の霊で、森に現れ、夜な夜な通りかか
った男を捕らえて死ぬまで躍らせるんだよ
絶体絶命! 鉢合わせですね!
バチルドは目が輝かせて手を差し出すと、ロイス
(アルブレヒト)はその手にキスをする。
裏切りを知ったジゼルは絶望し狂気に至り、
ついには息絶えてしまう。
なんてことに・・・
二幕 ジゼルの墓の前
ジゼルの墓のある森の中。
ヒラリオンが悲しみに打ちひしがれて墓を訪れて
いる。そこへウィリたちが姿を現し、ヒラリオン
は慌てて逃げる。
ウィリの女王ミルタが現れる。この日はウィリに
なったジゼルが仲間に加わる日。ここで彼女らの
踊りが披露される。
貴族の装束でアルブレヒトが百合の花を持って
ジゼルの墓を訪れる。彼は後悔の念にさいなまれ
ており、ジゼルの墓の前に跪く。そこへウィリと
なったジゼルが現れ、その姿を捉えたアルブレヒト
はジゼルとひととき踊る。
一方ウィリたちはヒラリオンを見つけて踊るよう
命ずる。ヒラリオンは必死に逃れようと懇願するが
ウィリたちは許さない。遂にヒラリオンは力尽き、
深い沼に落とされてしまう。
次にウィリたちはアルブレヒトを標的にする。
ジゼルは必死にアルブレヒトを庇って自分が代わりに
踊ると説得するが、ウィリたちが許すはずもなく、
アルブレヒトが踊り続け、命を落としそうになった
ところで、朝を知らせる鐘が鳴り響く。
朝になればウィリたちは墓に戻らなければならない。
アルブレヒトは彼を未だに愛するジゼルによって
危機一髪、命を救われたのだった。
しかし、今はジゼルもウィリ。墓に戻らなければ
ならない。
そう言い残して彼女は墓へ戻っていき、呆然とする
アルブレヒトだけが残されたのだった。
Kバレエ版ジゼルの上演時間
≪休憩 25分≫
第二幕 ジゼルの墓の前 50分
Kバレエ「ジゼル」の見どころ3選
2017年のプログラム
どうでしょう? ストーリーとしてはとってもシンプルですよね。
バレエは殆どそのストーリーはシンプルなんですが、
まあ良く言われる
これを絵に描いたようなお話です。
要はアルブレヒトが二股をかけて、二人の女性を翻弄し、
片方は命まで落としたのに、
最後にはヒラリオンは死んで自分だけ助かっている、
ということなんですね。
それも踏まえた? 見どころです。
一幕 狂乱の場
一幕では無邪気に恋をするジゼルと
それにこたえていちゃいちゃするアルブレヒト
そこから一気に絶望するジゼル、という天と
地のような場面が見られます。そこで
絶望するジゼルの狂乱の場が一幕の最後です。
ここの演技力が主役ジゼルを演じるダンサーさん
の力量が問われるところではないかと思います。
かわいらしかったジゼルが別人のように・・
音楽も共鳴して観客を涙に誘います。
狂乱の場 荒井祐子さん(2017年公演より)
二幕 ウィリ―たちの踊り
バレエ「ジゼル」においてウィリ―たちはとても
悲しい運命を背負った精霊たちです。
1841年に初演されたジゼルではふわふわとした
長いチュールやフリルがついたロマンチック
チュチュが主流でその衣装により、悲しい精霊
の儚さが伝わってくるのです。
表情もなく、悲しく揃う群舞は一糸乱れず、
とても美しいのです。
ヒラリオンはかわいそう?アルブレヒトに関する解釈は?
最後はやはりこのストーリーに関する解釈です。
先にも言いましたが、このお話で一番〇ズなの
はアルブレヒトなのですよね。
農民としてのうのうとジゼルと恋人同士
貴族としてバチルドという恋人が。
二股オトコじゃないですか!
その通り。
しかも身分を明かされたヒラリオンに逆切れして
ジゼルが絶命した際にはお前のせいだ!という
シーンもあります。
でも真摯にお墓参りに来たヒラリオンは
ミルタやウィリ―に死ぬまで踊らされた・・・
そう、そして慈悲の心に溢れたウィリになったジゼルに
助けてもらったところでお話は終わるんです。
この物語は現在でも不変のテーマであるとは言える、
”男性の二股” のお話なんですよね。
悪くないヒラリオンが死んでしまって、
ジゼルはどんな気持ちで裏切られた
アルブレヒトを助けたのか。
二幕のウィリになったジゼルを見ていただくと
わかるんですが、一幕の無邪気な少女の面影は
なく、表情のない精霊になっているんですよね。
そして最後には
”もうここへ来てはいけない” と
冷たく突き放すような最後になっています。
もう一つはアルブレヒトは結局、どちらを
愛していたのか。何を考えてジゼルのお墓を
訪れたのか、いうところです。
ここはその時その時の主役のダンサーさんたちが
それぞれ、自分の解釈を舞台で表現してくれます。
そこから何を感じ取るかは私たち観客なんですね。
熊川さんがアルブレヒトとして主演されたジゼルDVD
Kバレエの「ジゼル」2024年のスケジュールとキャストは?
それではそんなジゼルの主なるキャストをご紹介しましょう。
ジゼル | アルブレヒト | ミルタ | ヒラリオン | |
3/16(土)18:30 | 日高世菜 | ジュリアンマッケイ | 小林美奈 | 石橋奨也 |
3/17(日)12:30 | 浅川紫織 | 堀内將平 | 戸田梨紗子 | ニコライヴィユージャーニン |
3/17(日)16:30 | 飯島望未 | 山本雅也 | 成田紗弥 | 杉野慧 |
3/20(水・祝)12:30 | 浅川紫織 | 堀内將平 | 戸田梨紗子 | ニコライヴィユージャーニン |
3/20(水・祝)16:30 | 日高世菜 | ジュリアンマッケイ | 小林美奈 | 石橋奨也 |
3/23(土)18:30 | 日高世菜 | ジュリアンマッケイ | 小林美奈 | 石橋奨也 |
3/24(日)12:30 | 飯島望未 | 山本雅也 | 成田紗弥 | 杉野慧 |
* 開場は30分前ですが、混雑具合によっては早まる場合もあります。
Kバレエの誇る3人のプリンシパル(最高位ダンサー)
がジゼルにアサインされています。
- 技術の高さと長い手足のラインが美しい 日高世菜(ひだかせな) さん
- そのキュートな容姿と抜群の演技力を誇る 飯島望未(いいじまのぞみ) さん
- その演技の重厚さと確実なテクニックのベテラン 浅川紫織(あさかわしおり) さん
特別すべきは技術が完璧であるところ。長身で手足が長く
スタイル抜群の上、細かいテクニックも他の追随を許しません。
舞台上でも存在感が抜群です。
ルーマニア、アメリカのバレエ団でプリンシパルまで上り詰めた後、
Kバレエに移籍していらっしゃいました。
ジゼルは一幕の村娘の無邪気さと二幕の無表情な精霊という
違う二つの役割の演じ分けがとても難しいと思うのですが、
彼女の白鳥と黒鳥の演じ分けを拝見しても、全く問題ないと言えるでしょう。
シャネルのアンバサダーも勤めていてそちらの方面からも
ファンが多い彼女ですが、長い首筋、しなやかなラインと
やはり特別な存在感を持っています。
アメリカのバレエ団でプリンシパルまで上り詰めた後、
Kバレエに移籍されました。
彼女と言えば特筆すべきはその演技力かなと思います。
どんな役をいただいてもその役の彼女を観たいと思わせて
しまう人。きっと一幕ではかわいらしい少女を、そして二幕では
儚い精霊を演じ分けてくれるでしょう。
言わずと知れたKバレエの大スターです。
彼女はテクニック、という言葉を忘れてしまう
くらい自然に難しい技術も身体に取り込み、
内面からの演技力は観客を思わず引き込んでしまう
魅力があります。
6月のラ・バヤデールではガムザッティという
全く反対の役もアサインされています。
今回の儚げな役も見どころですね。
迷ってしまうので、やっぱり全部のキャストを拝見しちゃう
わけですね。。。
そしてアルブレヒトにもお馴染みのお二人がアサインされているのですが、
今回注目なのが、マダムバタフライでピンカートンに抜擢された
”ジュリアンマッケイ” さんが再び招致されているところですね。
この方、とにかく美しい男性なんですよ。
もちろん美しいだけでなく、その経歴も鮮やか。
引用:KバレエTOKYO
1997年アメリカのモンタナ州生まれのアメリカ人。わずか11歳にて
ボリショイ・バレエ・アカデミーに入学。首席で卒業し、各国のコンクール
を総なめにした後、2015年にはLausanneバレエコンクールでスカラシップ
を得て英国ロイヤルバレエで研修生になり、ロシアの名門ミハイロフスキー
バレエにて最年少でソリストになり、その後はサンフランシスコバレエ団を
経て現在はミュンヘンバレエのプリンシパルになっており、モデル、その他
の活動もしています。
日本で蝶々夫人のピンカートンとして招致されたときは
明るい対応でファンを喜ばせてくれましたが、
この時も確か、二股オトコの役では????(笑)
今回はどんな心の動きを見せてくれるでしょうか?
是非期待しましょう。
日髙さん、飯島さん、浅川さんに関しては主役としては
ベテランなので、どの公演にいらしても大丈夫!
もちろん、山本雅也さん、堀内將平さんしかりです。
私は実はこの物語のキーポイントはヒラリオンではないかと
思っていて、彼がそこまで素敵な青年だったら死に追いやって
欲しくない、と思っていて。
どこかイケてないところを醸し出して演じていただく方を
観に行きたいと思っているので、個人的には ”石橋さんの
ヒラリオン” がおススメです。
公演場所・チケットについて
全ての公演が渋谷Bunkamuraオーチャードホールにて行われます。
チケットは現在絶賛発売中です。
”眠れる森の美女” も ”くるみ割り人形” も完売になってしまい、
「ジゼル」も古典の人気作品ですので、完売になる日も近いのでは
と思います。
お席は 親子席、学生さん向けのお席と最近はS席に加えてプラチナシートが
用意されるようになりました。1階の1,2列と20列目です。
以前はS席だったのですが、主演ダンサーのサイン入りプレゼントも
プラスされて 21,000円となっています。
公演後に主演ダンサーの方に会えたりする機会も地方公演では
あるようです。
細かい情報はリンクを貼っておきますのでご覧ください。
こちらはKバレエTOKYOのジゼル公式サイトにもなっており、
他の情報も出ております。
まとめ
ジゼルが狂乱の上死んでしまい取り乱すアルブレヒト。
(熊川さんは今回ご出演になりません)
出典:KバレエTOKYO
この作品は熊川さんがKバレエを立ち上げた25年前に
初めて上演した全幕バレエでした。
世界中の著名なバレエ団がこの演目を上演して
いますが、熊川さんには珍しく、あまり内容や
踊りを変更してはいません。
あらすじ、上演時間、スケジュール、キャスト、そして見どころや
チケットについてお話してきました。
バレエを観る際には、是非
お出かけくださいませ。
あらかじめ熊川さんの ”ダメ男ぶり” まで見て予習されたい方は
是非、こちらもお求めください。
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