毎年12月、Kバレエカンパニー改めKバレエTOKYOは
”くるみ割り人形”を上演します。
バレエファンにとって”くるみ割り人形”と言えば
毎年のクリスマス時期のメインエベント! ですよね。
過去赤坂サカスで録音にて上演されていたKバレエのくるみ割り人形、
最近ではホームグラウンドの
”オーチャードホール”
にてオーケストラを入れて臨場感に溢れて上演されます。
そんなKバレエのくるみ割り人形のあらすじを徹底解説いたしましょう。
KバレエTOKYOのくるみ割り人形の”ちょっと違う”あらすじ
”くるみ割り人形”の あらすじは、”基本” があって、
そして、そこから、各バレエ団が少しずつ、各バレエ団独自の
アイデンティティというか、”味付け” をするんですね。
ストーリーが大幅に変わる事はありません。が!
熊川版はまた一味違うストーリーになっています。
その違いを見ていきましょう!
くるみ割り人形のストーリー ”標準版”
っていうのも変ですけれども。
くるみ割り人形はクリスマスイブのお話です。
シュタールバウム家という、ちょっと上流なお家にクララとフリッツという
子どもさんがいて、クリスマスパーティが催されます。
そこにたくさんの人が招待され、にぎやかな時を過ごします。
クリスマスのパーティ会場に来たドロッセルマイヤー叔父さんは
子どもたちを喜ばすためにマジックをしたり、お土産をくれたり。
クララはそこで、”くるみ割り人形”をもらうのです。
パーティが終わった後、くるみ割り人形を抱いて
眠ってしまった少女クララの夢の中で
いろいろなことが起こります。
- くるみ割り人形が隊長となり、兵隊と一緒にネズミの軍団と戦う。
- やられそうになってしまったくるみ割り人形のために
クララが勇気を出してスリッパでネズミの王様の頭を叩いたおかげで
くるみ割り人形はネズミとの戦争に勝利します。
- 醜かったくるみ割り人形は美しい王子へ姿を変え、
彼女を夢の国 ⇒ 雪の国 ⇒ お菓子の国へと誘っていきます。
- そこでは様々なキャラクターがいて踊りを披露し、彼女を歓迎します。
例えばお菓子の国では
チョコレートの踊り(スペインの踊り)
コーヒーの踊り(アラビアの踊り)
お茶の踊り (中国の踊り)
大麦糖の踊り (トレパック、ロシアの踊り)
アーモンド菓子の踊り (あし笛、フランスの踊り)
などなど、バレエ団によっても踊りの呼び方には違いはあります。
特に最後の ”金平糖のグランパドドゥ” はこの演目の要で最高に
盛り上がるシーンではありますね。
グランパドドゥってなに?↓
そして楽しい踊りが全て終わった後、クララが最後、夢から覚めて脇には
くるみ割り人形があった、というところで幕になります。
くるみ割り人形が王子様に変身し、ネズミと戦い、寒い雪の国、
明るいお菓子の国へ旅をするのは、すべてクリスマスイブの夢の中の
お話でした、ということです。
最初の方のクララが眠りにつくまでは現世界でのお話ですが、
その後は踊りの披露になり、ほとんどストーリー性を持ちません。
ここが流れの基本は同じだけれど、熊川版との大きな違いでもあります。
くるみ割り人形のストーリー ”熊川版”
最初から物語が始まります。
人形の国とネズミの王国の間では長い事領地を争う戦争が行われていました。
人形の国の王の娘マリーとその婚約者はネズミにより、マリーはネズミに、
婚約者はくるみ割り人形に姿を変えられてしまったのです。
その呪いを解くには、純真無垢な人間が硬いクルミを割らなければいけない。
人形の国の王はドロッセルマイヤーを呼び、そんな心を持つ人間を探してクルミを
割らせるよう、命じます。
ドロッセルマイヤーはシュタールバウム家に時計技師として時計を届け、
クリスマスパーティに参加した折、クララが
この呪いを解けるのだと確信し、くるみ割り人形をプレゼントします。
パーティが終わった後、ネズミがくるみ割り人形を盗んで時計の中へ
消えていく。そこが人形の国の入り口だったのです。
クララも迷った挙句、そこへ飛び込むと・・・・。
ネズミの軍団対くるみ割り人形と兵隊たち、が戦争をしていました。
そこで、クララはオリジナルストーリーのようにくるみ割り人形を助けます。
そしてくるみ割り人形(兵隊)とマリーの幻影は、”助けて、くるみを割って”
と伝えに。。。
そして、雪の国を訪れた後、クララは人形の国へ着き、くるみを割り、
人形の国の呪いを解くのです。
オリジナルではお菓子の国(もしくは各国の踊り)、ですが、
熊川版では、人形の国、と位置付けられています。
スペイン人形、アラビア人形、中国人形、ロシア人形、フランス人形、などが
救いを待っているわけですね。
最後の有名な、金平糖のグランパドドゥは、マリー姫とフィアンセのパドドゥ、となります。
クララが目を覚ますと、そこは現実の、人間の世界。。。
やはり全部夢の中、で起こったことだったのですね。
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以上のような違いはありますが、
音楽の進みはほぼ同じなので、オリジナルを知っていれば理解はできると思います。
2023年に練り直された ”眠れる森の美女” でもみられますが、
大きな違いと言えば、すべての役にきちんと ”ストーリー” があることです。
そこが最大の熊川さんのこだわりなのですね。
まとめ
標準版との違いをまとめてみます。
- 熊川版は人形の国とネズミの国の対立から物語が始まる
>>> 標準版は特にそのような指定はない。
- 熊川版はドロッセルマイヤーは純真無垢な人間を探す人形の国の人
>>> 標準版はドロッセルマイヤーは親戚のおじさん
- 熊川版はネズミに変えられた人形の国のマリー姫とくるみ割り人形に
変えられたその婚約者、人形の国の人形を救うため、
クララがくるみを割る必要がある。
>>> 標準版はそのような指定はない。
- 熊川版は最後のクライマックスのグランパドドゥがマリー姫とその婚約者による。
>>> 標準版はお菓子の国の金平糖のグランパドドゥである。クララが踊るバージョンもある。
標準版はシンプルですが、熊川版は物語がある。 振付一つ一つにも隠し意図が
あるので、ファンとしては目が離せないわけです。
標準版をご存じの方も、違いを楽しめる構成になっていますよ🎵
もし両方ご存じない方、バレエはセリフがなく、踊りとマイムのみで
物語を紡いでいく芸術ですので、是非お出かけ前にストーリーを
ざっくり頭に入れて観にいらっしゃることをおススメします🎵
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